ー回転寿司屋ー 

小野田「そうSS。サイドストーリー、ショートストーリーの略なんだけどね。主にファンによる二次創作小説を表す単語なんだ」 

右京「二次創作……。原作者ではない他の人間が作り上げた小説のことですね?」 

小野田「その通り。その中でもネットとかで掲載されている作品をSSと呼ぶんだけども。今それを読むのにはまっちゃってて」 

右京「それはそれは」 

小野田「といってもぼくが読んでいるのは二次創作じゃなくて一次創作……。つまり書き手の想像と発想で作られた小説なんだけどね」 

右京「失礼ですが、その場合SSではなく普通の素人が書いた小説になるのでは?」 

小野田「『"主に"ファンによる二次創作」って言ったでしょう?一次創作でもSSと呼ぶことがあるんだよ」 

右京「なるほど」 

小野田「それらに載っている作品を読んでたらさ、ぼくもこう、なんて言うの?創作意欲?みたいなのが湧いてきちゃってさ」 

右京「その創作意欲が抑えられず、SSを書いてみたと」 

小野田「そうなんだよ、杉下。そしてここからが本題だ。そのSSをお前に一読してもらいたいんだ」 

右京「はいぃ?」 

小野田「そしてお前に批評してほしいわけ。ここが良かったとかここがダメだったとか」 

右京「用件があるからなにかと思ってきてみたら、そんなことでしたか」 

小野田「そんなこととは心外だな」 

右京「その書いた小説というのはもうネットに投稿されたのでしょうか?」 

小野田「ああ、したよ」 

右京「でしたらぼくがとやかく言わなくても、ネットの方々の貴重な意見がもらえたはずですが」 

小野田「いやそうなんだけどさ。知り合いの意見とかも聞いたみたいわけよ。ぼくとしては」 

右京「ご自身の部下などに読ませれば良い話では?」 

小野田「そんなの恥ずかしくて読ませらんないじゃないのよ。あのさ、忘れてるかもしれないけどぼくは結構偉い人なの」 

右京「無論、重々承知していますが」 

小野田「そんな偉い人が小説なんて書いてるってカミングアウトしてごらんよ。なんだかぼくが仕事そっちのけで小説を書いてたみたいに取られるじゃない」 

右京「実際そうなのでは?」 

小野田「いやいや、ちゃんと貴重な休日を利用して書きましたよ。とにかく部下に読ませるといくら釈明しても、仕事をサボってたみたいに取られるかもしれないからお前に読ませるというわけ」 

右京「なるほど。官房長の考えはわかりました」 

小野田「じゃあ読んでくれる?」 

右京「……。わかりました、拝読させていただきます」 

小野田「それは良かった。はいこれ、ぼくのスマホ。ぼくの書いた小説がディスプレイに映ってるでしょ?」 

右京「ええ、では少々お借りします」 

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