僕は犬だ。名前はわんこ。 


わんこは名前じゃないだろうって? 
いやいやこれは歴とした名前だ。 

まずもって飼い犬をわんこなどと呼ぶ飼い主はそうそう居ない。 
それに聖來は僕の名前を呼ぶ時、いつだって嬉しそうな顔をする。 


だから僕は、聖來の飼い犬の、わんこだ。 

SMASHING ANTHEMS/水樹奈々



 「たっだいまー♪」 


そんな一介の犬である僕にだって、人並みの悩みはある。 


 「えへへー。Pさんにいっぱい褒められちゃったよー、わんこー♪」 

マンションへ帰ってくるなり、鞄を放り出して床に転がる。 
この人こそが僕のご主人様、聖來だ。 


僕は自分がどうやって生まれたのかとんと覚えていない。 
ただ記憶の中の一番底にある笑顔は聖來のものだった。 
彼女が毎日のようにセイラ服なる物を来ていたのはぼんやりと覚えている。 
そういえば最近あの服を見ないけど、着ないんだろうか? 

後になって漏れ聞いた話によれば、仔犬の頃に知り合いから貰われてやって来たらしい。 
親代わりに世話を焼いてくれた聖來に、僕は精一杯恩を返すつもりでいる。 

 「ファンの人もいっぱい集まってくれたし、あー、頑張って良かったー……」 

聖來が大きく伸びをして息をつく。 


そう、聖來はアイドルなのだ。 
最初アイドルというのがどんな物か知らなかったが、見ている内に何となくだが理解はした。 
どうやら自身の実力で世界中の人を服従させるのが使命らしい。 
僕のご主人にぴったりの仕事だ。



 「あー……今日は流石に定時は無理があったか…………」 


一方、そのアイドルの右腕として駆けずり回る仕事もあるようで。 
それがいま青息吐息で眉間を摘む、聖來の専属プロデューサーだ。 

 「まぁどうせ留守番だったからいいけどさ……ごめんなわんこ、もうちょい待ってな」 

 「あんっ」 
 (分かった) 

歳は聖來の三つ上だと聞いているが、どうにもそうは見えない。 
聖來は童顔だし、プロデューサーは若干だけれど老けて見える。 
その両方が合わさって、隣りに並ぶと十も離れて見えてしまう。 
本人達は気にしている様子も無いので、僕も特に言う事は無いけど。 

 「ちょいと休憩するか」 

ソファーの上に寝そべっていた僕の横へやって来る。 
どさりと腰を下ろして、僕の頭を優しく撫でた。 
辺りを見回して他に誰も居ないのを確認すると、独り言(?)を零し始める。 

 「いいよな、わんこは。聖來といつも一緒に居られて」 

 「くん」 
 (うん) 

 「はぁ、俺も毎日の生活に笑顔と癒やしが欲しいよ……」 

出会ってからというもの、ずっとこの調子だ。 
いい加減どうにかしないといけない。




 「明日はオフかー。早くPさんに会いたいなー……はぁ……」 
 「最近、一人きりの家に帰るのがどうにも寂しくてなー……はぁ……」 



この二人、何故か一向に交尾しようとしないのだ。 


心弾むお姉さんこと水木聖來さんと、笑顔の忠犬ことわんこのSSです 


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以下、わんこの台詞(?)の大半は 『』 になりますが、もちろん実際はわんわん鳴いてます 
コメディだよ 

 ― = ― ≡ ― = ― 


 『あー、それウチのご主人もだわ』 


珍しく事務所まで来ていたハナコさんに相談すると、帰ってきたのは意外な答えだった。 

 『何でもリセイってのが邪魔してるらしいんだよ』 

 『リセイ? 僕らで言う首輪とかリードみたいな物かな?』 

 『うーん……でもご主人、普段は首輪着けてないし』 

確かに。僕たちには無いものか。 
とすると服の一部のような物かもしれない。後で調べておこう。 

 『あんなに耳揺らして尻尾振ってんのにねぇ。何であの男も気付かないかねぇ』 

 『人間にはちょっと分かり辛いんじゃないかなぁ』 

 『でも撫でてもらえなくてシュンとしてるご主人見てるとアイツに噛み付きたくなるよ』 

 『手加減してあげてないとダメだよ』 

凛さんはだいぶ分かりやすい方だと思うけど、あの担当さんはどうも鈍いらしい。 
聖來のプロデューサーもだけど、こんな仕事をしてるならもう少し観察力を磨いた方が良いと思う。 

 『うーん、どうしたらいいのかな』 

 『ペロさんに相談してみる? 彼なら頭良いしアドバイスくれるかも』 

 『良いかも。今度雪美さんが――』


 「――ごめんごめん。はいこれ」 

 「へー、これが? 見た目は前に流行ったのと変わってないね」 

 「性能はグンと良くなってる……らしいよ。まぁそれを試すんだけどさ」 

会話を遮るようにドアが開いた。 
何やら忘れ物をしたらしい凛さんが、聖來に万歩計のような物を手渡す。 
受け取ったそれを聖來は物珍しげに眺め回していた。 

 「優ちゃんと言うかアッキーはもう試したんだっけ?」 

 「うん。物凄くイヤがってロクに鳴こうとしなかったみたいだけど」 

……ああ、アレが件の『ワンリンガル』か。 

確か、聖來が出ている動物番組の企画の一つだった筈だ。 
アイドルのペットで試して信頼関係を確かめてみよう、と。 
撮影前のお試しで回って来ているようだ。 

 『ハナコさんも試したんだ』 

 『あぁ、まぁテキトーにね。そこそこ精度良いよ、アレ』 

 『へー、やっぱ人間ってスゴイや』 

 『この分だと遠くない内にお喋り出来るようになるかもねぇ』 

 『聖來ともっとお話してみたいな』 

伝えたい事はちゃんと伝えないと。 
聖來たち二人を見ていると、一層そういう考えになってしまう。 
人間同士のこういう機械も作ってみたら良いのに。


 「ふっふっふ。じゃあ早速……はいっ、わんこ!」 

 『……?』 

聖來が目の前に機械を差し出す。 
ああ、吠えてみてって事か。 

 「……わんっ」 
 (えっと……元気だよ) 


ピピッ。 


電子音が鳴って、画面に文字が表示された。 


”元気だよっ!” 


 「おー……って、これ合ってるの?」 

 「わんこに聞いてみたら良いんじゃない」 

 「どうなの、わんこ?」 

 「くぅん」 
 (うん、合ってる合ってる) 


ピピッ―― ”わーい!” 


 「合ってるっぽいね」 

 「何か私達、凄く面倒くさい事してない……?」 

確かに精度はそこそこらしい。 
お喋り出来る未来はまだまだ遠そうだ。残念。

 ― = ― ≡ ― = ― 

 「雪美ちゃんみーーっけ!」 

 「……ふふ…………」 

 「今度こそいっただ……うぇっ!? ドア裏にモーセン!?」 

 「ちひろさんがまだ帰って来ませんように……お、チョッキ」 

 「えっと、あの……私、一体何処に居るんでしょうか……?」 

事務所の端にパーテーションで区切られた休憩スペース。 
聖來とプロデューサーに、今日は雪美さんと美優さんの二人を加えてテレビを囲んでいる。 
この分だとしばらくはあのままだろう。 


 『――久しいなわんこ殿。ご壮健であられるか』 

 『久しぶり。実は悩みがあって』 

 『ハナコ殿から聞き及んでおる。私で良ければ相談預かろう』 


CGプロ動物組のご意見番でもあるペロさんに話を聞いてもらう。 
一通り話し終えると、ペロさんはヒゲを撫で付けて鼻を鳴らした。 

 『とどのつまり、好き合っている双方に先ず恋慕の情を自覚させればよい訳だ』 

 『そう! つまりはそういう事! 流石ペロさん』 

 『ふむ……しかし色恋とは難題極まるな』 

ペロさんがゴロゴロと喉を鳴らして悩む。 
さっきから雪美さんがこちらをちらちら振り返っているのが気になった。 
今日は着けて来ていないんだけどな、ワンリンガル……。


 『如何様な手でも構わぬと言うならば、話に聞く吊り橋効果と云うのが早かろう』 

 『ツリバシコーカ?』 

 『早い話が、人間というのは身に危険が迫ると恋に落ちやすいとの事だ』 

 『人間がよく分からなくなってきたよ』 

身が危ないなら尻尾巻いて逃げ出すべきだと思うけど。 

 『そうは言ってもね……わざわざ危険な目に合わせるなんて出来ないし』 

 『そこが難題と申した故よ』 

僕には聖來を幸せにする使命がある。 
ただその為にご主人様に危ない橋を渡らせるというのはちょっと違うと思う。 
三つ葉のクローバーがどうとか、同じような事を誰かが言っていたし。 

 『……うん、ありがとうペロさん。すごく助かったよ』 

 『何、猫の手でよければ幾らでも貸すさ』 

 『……? 何それ?』 

 『ふむ。どうやら慣用句の勉強が必要のようだ』 

続きを促そうとすると、何やら身に危険でも迫ってるみたいな声が聞こえた。 

 「…………あ。いえちひろさんこれは佐城さんが仕事までいえ言い訳ははい申し訳ありませんでした……」 

気のせいだった。 
プロデューサーもちひろさんもとっても良い笑顔だ。 
犬の癖に耳が悪いっていうのも情けないなぁ。 


 「あ……ええと……私も休憩させてもらいますね」 

 「はーい。よし、それじゃあタイマンといこうか雪美ちゃん!」 

 「……マップは図書館……負けない……」 

一仕事終えたような面持ちで美優さんが出て来た。 
給湯室に足を向けかけて、ソファの上に寝そべる僕達に気付く。 

 「ペロくんにわんこくん。すぐここに居たんですね……おとなしくて気付きませんでした」 

 『そっちも盛り上がってたからね』 

 「……ふふっ。いいこですね」 

僕は聖來の次くらいに美優さんが大好きだった。 
今も、いつだって、美優さんが僕を撫でる手は太陽みたいにあたたかい。 
油断すると眠ってしまいそうなくらいだった。 


ゴト、ガタンッ! 


 『――何だ』 


身を起こして唸り声を上げる。 
大きな物音。聖來たちの居る方だ。 


 「あ、ヤバっ。落ちちゃった……」 

 「コントローラー……引っ張り過ぎちゃ、ダメ」 

 「うー、ごめん。ついついアツくなっちゃって……えへへ」 

機械を床に落としただけのようだ。 
警戒を解いて再びソファーへ伏せる。 
しかしどうにも頭が寒々しい。 
不思議に思って隣を見上げると、美優さんが怯えるような、戸惑うような表情で距離を取っていた。 

 『わんこ殿が威嚇した為であろう』 

 『あ、そっか』 

別に美優さんにどうこうしようって訳じゃないんだけれど。 
極力ゆっくりと近付いて、頭を美優さんの手へ擦り付ける。 
一瞬だけ身体を強張らせた後、おっかなびっくりだけどまた撫で始めてくれた。 

 『驚かせてごめんなさい』 

 「…………えっと……わんこ君、怒ってる……?」 

 『ううん。ぜんぜん』 

安心させるようにごろりと横になる。 
ようやく美優さんもほっと息をついて、安心したように微笑んだ。 


 『…………ん?』 


――これ、使えるんじゃないかな。 

 ― = ― ≡ ― = ― 

 『――うーん、アタシ達にそんな演技出来るかね?』 

 『ご主人がアイドルなんだ。僕達だってそれ位はやってやらないと』 

 『そんなもんかなー……?』 

そう。何も本当に危険な目に合わせる必要なんて無いんだ。 
危なそうなフリをするだけでいい。 

 『まぁ物は試しだよ』 

 『はいはい。よ……っと』 

ハナコさんが咥えていたボールを放り投げる。 
僕はそれを一緒になって追い掛けて捕まえる。 
今度はしばらくじゃれついた後、また違う方へ放り転がした。 

 「あー……癒されるー…………♪」 

 「……そうだな」 

公園のベンチに座りながら聖來が目を細める。 
プロデューサーは僕らと言うより、癒されてる聖來を眺めて癒されているようだ。 

 「ハナコちゃんも可愛いなー……良いなー……」 

 「わんこが拗ねるんじゃないか」 

 「えー? そんな事無いよー。ね、わんこー?」 

 『どうかな』 

凛さんからついでにと散歩を頼まれた。 
そういう体で事を運ぶのに随分と苦労してしまった。 
さて、ここで失敗する訳にはいかない。上手くやろう。


 「……ワンッ!」 
 (そろそろ始めよっか) 

 「キャンッ!」 
 (りょーかい) 

 「……わんこ?」 

ハナコさんとボールを獲り合った後、大きく声を張る。 
頑張って全身の毛を逆立てて、ハナコさんを威嚇するように身を低くした。 

 『こんな感じかなぁ』 

 『さぁ……アタシもケンカなんてした事無いし』 

互いに吠え合って、険悪な雰囲気を醸し出す。 
実際にやり合ったらまぁまず僕が勝つので、この辺の微妙な加減が難しい。 

 「わんこ……どうかした?」 

 「ワウッ!!」 
 (まぁちょっとね) 

 「っ!」 

真正面から強めに吠えると、聖來がびくりと身を縮める。 
うぅ、心が痛い……涙が出そう。 
ほんの少しの間だから。ごめんね聖來。 

 「……聖來? わんこ? どうかしたか?」 

 「えっと……何か……」 

 「ワンッ! ワウ、ワォンッ!」 
 (プロデューサーもゴメンね) 

 「うぉっ!?」 

プロデューサーも思わずたじろぐ。 
普段の様子が様子だから、豹変した(犬だけど)僕に頭が追い着いてないみたいだ。


 「ど、どうしたんだ……?」 

 「分かんない……何か、ボールを取り合ってたら突然…………わんこ、だいじょうぶ……?」 

まぁ全然大丈夫なんだけれど、そう思われたら作戦にならない。 
ちょっと怯えてる聖來を見ているだけでもう心が挫けそうだけど、気力を振り絞って演技を続ける。 

 「わんこ! 大丈夫! 何もこわくな」 

 「ガウッ!!」 
 (ごめん! 本当にごめんね!) 

 「っ! きゃ……!」 

抱き寄せようと近付いて来た聖來を威嚇する。 
流石にプロデューサーもおかしいと気付いたのか、急いで僕と聖來の間に割り込んだ。 

 「わんこ! どうした、いつものお前らしくないぞ!」 

 『意外に演技派じゃん』 

 『こんなの二度とやりたくないよ……』 

人が集まって来ない内に決めないといけない。 
なのにこの二人ときたら一向にイチャつく気配すらない。 
うー……どうしよう。もうこれ以上なんて難しいぞ。 

 『どうすれば発情するのこの二人!?』 

 『もう一押しなんじゃない? 飛び掛かるフリとかしてみる?』 

 『え、それは流石に……いやでも……ううん…………ええい! ままよっ!』 

聖來に向かって勢い良く飛び掛かる。フリをした。 



 「――聖來!」 


プロデューサーが聖來を庇うように抱きかかえて背中を向ける。 
その拍子にバランスを崩して、聖來に覆い被さるように地面へ倒れ込んだ。 



…………おっ? 



 「聖來! 大丈夫か!」 

 『…………』 

 「う、うん、だいじょうぶ…………あの、Pさん」 

 『…………』 

 「どうした!? ケガは無いか!?」 

 『…………』 

 「あの……んっ……そこ、さ……手、どけてくれると……」 

 『…………』 

 「……っ!! わ、悪いっ!! わざとじゃ……!」 

 『…………』 

 「わ、分かってるから! だいじょぶだからっ!」 

 『…………』 

 「す、すまん。すぐにどくから。ホントごめんな」 

 『…………』 

 「あ、えっと……別に、そんな…………イヤ、じゃ、なかった…………し」


 『…………』 

 「……え、っと…………聖來…………」 

 『…………』 

 「…………あれ? わんこ……?」 

 「わん」 
 (続けて) 


 「…………わんこ?」 

 「わん」 
 (はやく) 


じっと二人を見守っていると、何故か聖來がゆっくりと立ち上がった。 
プロデューサーも不思議そうに聖來を見上げている。 
お尻に付いた土埃を払うと、僕に向かって柔らかく微笑んで。 


僕はその笑みに、何故か底知れぬ恐怖を感じた。 


 「私、残念だけどわんこの言葉は分からないんだ。でもね」 


そうだ。これは、僕が仔犬の頃―― 


 「わんこの考えてる事は、だいたい分かるんだ♪」 


聖來が大切にしていたぬいぐるみをボロ切れに変えてしまった時の―― 



 「わーんこ♪」 


聖來がしゃがみ込んで、僕の鼻先にその笑顔を近付けた。 



 「――おすわり」 



 「……わ」 
 (……いや、もう座っ) 

 「おすわり」 

 「わん」 
 (わん) 



――ご主人の為を思ってやったんだ。 



一介の犬でしかない僕の叫びは、残念ながら届かなかった。 

 ― = ― ≡ ― = ― 

 「なぁ、聖來」 

 「ん、何?」 

 「わんこ、最近何だか前にも増しておとなしくなってないか」 

 「んー? そうかな、わんこ?」 

 「わん」 
 (わん) 


ピピッ―― ”うん” 


 「んー……? 変わってない、のか……?」 

僕の首元のワンリンガルを覗き込んで、プロデューサーが首を傾げた。 
今まで首輪を首輪だと思った事は無かったけど、ここ最近はこの機械を爆弾のように感じていた。 

 「……まぁいいか。で、次のライブなんだけど」 

 「うんうん」 

 「……衣装案、こんな感じなんだけど……どう?」 

探るような目付きでプロデューサーが資料を手渡す。 
受け取って、聖來がそれをぱらぱらと捲った。


……なるほど、これは。 


首輪。それに繋がれた鎖。 
コンセプトは”歌って踊れるわんちゃん”。 
露出は多め。かなり。 


 「こりゃ、また……凄い衣装だね」 

 「ああ……いや、だから意見を聞いておきたくてな」 

 「…………」 

 「……聖來?」 

 「一応訊いとくけど……これ、Pさんの趣味?」 

 「い、いや違う。衣装さんから手渡された時点でこうだったんだ」 

 「ふーん……まぁ、前にバニーとかもやったけどさ」 

資料とプロデューサーの顔とを見つつ、聖來が考え込む。 
プロデューサーが冷や汗をかき始めるくらいの時間が経って、ようやく聖來が口を開いた。 

 「見たいの?」 

 「……はっ?」 

 「Pさんはこの衣装の私、見てみたいの?」


プロデューサーの目が泳ぐ。 
正直なのは良い事だ。 

 「…………」 

 「……見たいの?」 

 「……あー…………」 

 「正直に言ってくれないと、私も意見を出し辛いなー。なー」 

 「…………」 

 「…………」 


 「…………是非見たい、です」 

 「じゃ、着る」 


聖來が笑顔で資料を返す。 
プロデューサーは両手で顔を覆っていた。


 「もー。プロデューサーも良いシュミしてるねー♪」 

 「死にたい……」 

 「死んじゃダメだよ。練習付き合って貰わないと!」 

 「……何の?」 

 「犬のっ! 今度のコンセプト、歌って踊れるわんちゃんなんでしょ?」 

聖來が頭の上に両手を添えてぴこぴこと動かした。 
どうやらイヌミミを真似ているらしい。 

 「へへー。実は犬のマネならけっこう自信あるんだよ?」 

 「へぇ。今からでも出来る?」 

 「もちろん。…………うー、わんっ。わんわんっ♪」 

聖來が犬のように吠える。 
昔から得意にしていたけど、実力は衰えていないみたいだ。




――ピピッ。 



 「…………ん?」 

 「…………へっ?」 


聞き慣れた電子音が鳴って、聖來達が僕の方を振り返った。 

 「…………えーと」 

プロデューサーが僕の首輪からワンリンガルを取り外す。 
聖來と一緒に、プロデューサーの背中越しに、小さな表示画面を覗き込んだ。




 ”幸せ。大好き! だいすき!!” 



人間の読む本にはエピローグなる物がよく付いているらしい。 
物語のその後が描かれていたり、大どんでん返しがあったりするんだとか。 
でも、今回の僕達の物語はここでおしまい。 


ぶつ切り過ぎるだろうって? 
いやいやこれは僕なりの配慮なのだ。 


まずもってこの先の展開だなんて、それこそ犬にだってご想像がつくだろう。 
それに……そうだそうだ。ペロさんがぴったりの言葉を教えてくれたんだった。 


何せここから先は、そう。 



――犬も喰わないような、他愛の無い話だからね。 


おしまい。 
聖來さんは無邪気セクシー可愛い 


俺だってわんこになりてぇよ 
ゴールデンアイめっちゃ面白いよね 


ちなみに微課金なのでどうすれば(ジュエル抜きで)デレステのMVモード解放出来るか悩んでます 
誰か助けてくれ


http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1442025969/