5レス位のショートストーリーです。 
あと死後ネタなので嫌いな人は戻るをクリックすることを推奨します。

穂乃果は死んだ。 

もう葬式も終わって身体がなくなってしまったけれど、霊体のまま色々活動していた。 
ただ、私への認識はないようで、誰一人として穂乃果の姿を見ることはない。 

穂乃果「ここが天国の入り口……。」 

???「最後にチャンスをやろう。」 

穂乃果「500?図書カード?これなんだろう?」

穂乃果が死後に手に入れたテレフォンカード。 
このテレフォンカードの残数だけ、 生きている者達との会話を交わすことができるという。 

最初は、好きだった親友達に今でも相手の好きな所や好きであるその気持ちを伝えた。 
穂乃果の身体は火葬されて存在しない。お互いの関係で今後のことを考える必要性もない。 

もう会うこともない、話すこともこれきりだと思うと、色んな話を打ち明けていた。 
恥ずかしいことも言った気がするが、最後だし、恥かしがることもなく、全部伝えた。 

凛は明るく答えてくれた。花陽も声が裏返り詰まりながらも笑いながら送ってくれた。 
絵里も最初はおばけと怖がったがしっかりとしていたし、 
希も茶化しながらシワクチャおばあちゃんになったら天国に会いに行くよって言ってくれた。 

穂乃果が予想外だったのは真姫とにこであった。 

真姫が電話を取り、穂乃果の声を聴いた刹那号泣。 
嗚咽を漏らしながら今どこにいてなにをしてるのかと聞かれたり、 
落ち着くといつものクールな真姫を演じることなく素直に穂乃果の気持ちを受け入れた。 

にこも同じように大泣きしながら穂乃果の事を励ましてくれた。 

次に、身近にいた海未、ことりと話し、私は私としてあなたの人生の中に生きていたかを問うた。 
学校の友達にも健康に気をつけて、と伝えるように言った。 
生前よりも死後では、より気楽に会話することが出来た。 
生きることの責任から解放された時、人は本当の自由になれるのだと思った。 

海未は電話を切らないでと駄々をこねことりになだめられて 
最後に海未がでは体に気を付けてと言われた時に、もう死んでるんだってといった。 
この電話で初めて海未が忘れてましたと笑って心残りに電話を切っていた。

この時点でカード残量は20ない程度。 
段々とテレフォンカードは、無計画に使ってよい範疇を超え、どれだけ相手に伝えられるか、 
考えながら少しずつ会話をしなくてはならなくなった。出来るだけ要件を明確に伝えるために。 
最初のような軽い感じは微塵もなく、一言一句を伝えることで精一杯だった。 

いよいよテレフォンカードの残数が3を切り、天から覚悟をするように勧められた。 
最後に掛ける場所、ずっと悩んで、泣いて、それでも考え続けた最後の相手は父さんだった。 
父さんは職人気質で多く語らず、生前の母さんのように特に何かをしてくれた訳ではなかった。 
テレフォンカードを差込み、受話器を取り、電話番号を入力する機械音を聴きながら待った。 

穂乃果「もしもし」 

ホノパパ「……。」 

穂乃果「お父さん。もう身体無いけど、色んな人と話ししてきたよ。だから、もう逝こうと思うの。」 

ホノパパ「……。」 

穂乃果「先に死んじゃってごめんなさい。でも死後に色々出来てよかった。もう未練ないから大丈夫。」 

ホノパパ「……。」 

穂乃果「うん……。それじゃ、育ててくれて本当にありがとう。先に行ってるよ。ありがt…… 

ピーピーピー。 


カードが全てパンチされ、排出されたとき。思わず眼をつむり、深く溜息をついた。 
いよいよいって、私は死んだのだな、と痛感すると同時に、 
これから、死後の扉をくぐらねばならない。 

その先に待ってるものは何なのか分からないが前を向いた。恐怖心は無かった。 
ただ生きていた時に背負ってきたものを捨てて、ラストステージの舞台に立つだけであった。 

未練もなく清算したにもかかわらず、穂乃果の目尻から溢れ涙が流れ落ちていた。 

以上で終わりです。 

ふと思いついた内容を忘れないうちに書こうとして書いてみました。 

一人でも楽しんでいただけたなら幸いに思います。


転載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1422892094/