1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/18(水) 23:46:13.29 ID:6JIcxPKdo

美希「え?」 

P「いや、俺がここに置いといたおにぎりなんだが……」 

美希「知らないよ?」 

P「トイレに行く前は確かにあったんだが……」 

美希「知らないの」 

P「………」 

美希「知らないってば」 

2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/18(水) 23:46:58.75 ID:6JIcxPKdo

P「駅前に新しくできたおにぎり屋で買ってな……」 

美希「うん」 

P「結構大きめのおにぎりでさ……」 

美希「へ~」 

P「三つあったんだよ……」 

美希「そうなんだ」 

P「………」 

美希「………」 
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/18(水) 23:47:31.19 ID:6JIcxPKdo

P「この事務所にさ……」 

美希「この事務所に?」 

P「俺たち以外、今いないよな……」 

美希「いないね」 

P「小鳥さんも社長もいないし……」 

美希「only twoなの」 

P「だよな……」 

美希「なの」 

P「………」 

美希「……ん?」 
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/18(水) 23:48:14.56 ID:6JIcxPKdo

美希「……ねえ、プロデューサー」 

P「なんだ?」 

美希「もしかして……美希のこと疑ってるの?」 

P「………」 

美希「美希がプロデューサーのおにぎりを盗んだって思っているの?」 

P「………いいや、思っていない」 

美希「そう、それならいいの」 

P「盗んだっていうか、美希は既に食べていると思ってる」 

美希「意味合い的には同じことなの!」 
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/18(水) 23:48:41.89 ID:6JIcxPKdo

美希「なんなの!なんなんなのなの!!」 

美希「美希は他人の物を勝手に食べるなんて、そんな浅ましいことしないの!!」 

P「だけどなぁ……」 

美希「プロデューサーは美希がそんなことするって思ってるの!?」 

P「うん」 

美希「ノータイム!?ノータイムで肯定!!?」 

P「なんか悪気なく食べそうな気がするんだよなぁ」 
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/18(水) 23:49:10.60 ID:6JIcxPKdo

美希「とにかく!美希は食べてないの!」 

P「そうなの?」 

美希「そうなの!」 

P「しかし、トイレに行って戻るまでの数分間で無くなったんだぞ?」 

美希「そんなの知らないの!」 

P「事務所には俺たちしかいないんだぞ?」 

美希「それは知ってるの!」 
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/18(水) 23:49:48.46 ID:6JIcxPKdo

美希「そもそも証拠もないのに、美希を犯人扱いするなんて酷すぎるの」 

P「状況証拠としては完璧なんだが?」 

美希「状況証拠だけじゃ証拠として弱いと思うな」 

P「まあ確かにそうだが…」 

美希「証拠もないのに犯人扱いして美希は大変傷ついたの」 

P「………」 

美希「でも、美希は寛大だから許してあげるの」 

P「………」 

美希「本来なら美希は10倍返しにしてやり返す女だけど運が良かった――」 

P「そういえば事務所内に防犯カメラがあったな」 

美希「――え?」 
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/18(水) 23:50:23.03 ID:6JIcxPKdo

美希「え?……防犯…なに?」 

P「防犯カメラ、前に防犯のために事務所前と事務所内に付けるって言っただろ?」 

美希「なにそれ?美希知らないよ?」 

P「言ったぞ、もしかして聞いてなかったのか?」 

美希「………」 

美希「…そ、そんな嘘に騙される美希じゃ――」 

P「ほら、あっちの天井隅にカメラがかかっているだろ」 

美希「――うん……」 
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/18(水) 23:50:53.23 ID:6JIcxPKdo

美希「………」 

P「………」 

美希「………」 

P「そんじゃあカメラの録画をチェックす」 

美希「待って!」 

P「………」 

美希「………」 
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/18(水) 23:51:25.54 ID:6JIcxPKdo

P「……食べたって認めるのか?」 

美希「………」 

P「認めるんだな?」 

美希「…美希は………」 


美希「美希は…食べ………」 



美希「……てないの」 


P「録画したのを確認するわ」 

美希「待って!待ってってば!!」 
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/18(水) 23:51:54.04 ID:6JIcxPKdo

P「なんだよ、食べてないなら問題ないだろ?」 

美希「問題ありまくりなの!」 

美希「乙女のプライベートを隠し撮りしてるなんて変態!変態大人なの!」 

P「隠し撮りって、ちゃんと説明してただろ?」 

美希「美希は聞いてないからノーカンなの!」 

P「ノーカンって……」 

美希「とにかく!隠し撮りなんて認めないの!」 

P「お、映った映った……はは、美希がよだれ垂らしながら寝てるぞ」 

美希「やーーーー!!」 
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/18(水) 23:52:24.08 ID:6JIcxPKdo

P「おーい、美希ー」 

美希「んーーー!」 

P「そこどいてくれよ、モニターが観れねえよ」 

美希「観なくていいの!」 

美希「美希の恥ずかしい姿なんて見ちゃダメなの!!」 

P「いや、おにぎりを食べた犯人を見たいだけなんだが」 

美希「観なくていいの!!」 

P「どうしろっていうんだよ」 
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/18(水) 23:52:53.13 ID:6JIcxPKdo

美希「…ふぅ、わかったの……」 

P「?」 

美希「美希は食べてないけど…美希は食べてないんだけど」 

美希「プロデューサーがあまりにもしつこいから……おにぎり代払ってあげるの」 

P「わかってないよね?君なにもわかってないよね??」 

美希「いくら払えば…プロデューサーは納得してくれるの?」 

P「嫌なわかり方だな、おい」 
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/18(水) 23:53:30.21 ID:6JIcxPKdo

P「じゃあ1つ250円だったから3つで750円」 

美希「750円ね……はい」チャリン 

P「おう……って352円しかないんだが?」 

美希「それが美希の全所持金なの」 

P「352円でよく『いくら払えば…プロデューサーは納得してくれるの?』って言えたな」 

美希「い、家に帰ればもうちょっとはあるの」 

P「給料とかどうしているんだ?」 

美希「親に、ほとんど管理されてるの……」 

P「まあ中学生だしな」 

美希「考えてみれば中学生に集るとか良くないって思うな~」 
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/18(水) 23:53:59.04 ID:6JIcxPKdo


P「はあ……もうおにぎりとかいいや、金も返す」チャリン 

美希「え?もういいの?」 

P「ああ、そろそろ打ち合わせの時間だしな」 

美希「そ、そうなの……」ホッ 


P「………ちなみに」 

美希「ん?」 
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/18(水) 23:54:29.80 ID:6JIcxPKdo

P「あのおにぎりだけどな」 

美希「うん」 

P「そもそも美希の為に買ってきたんだが……」 

美希「美希の!?」 

P「ああ、美味しいって評判だったからな」 

美希「………」 

P「無くなったのは残念だけど……」 

美希「………」 

P「仕方ないな……」 
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/18(水) 23:54:56.07 ID:6JIcxPKdo

P「証拠も無しに疑って悪かったな」 

美希「………う、うん」 

P「それじゃあ行ってくるわ」 

美希「いってらっしゃい……なの」 


<パタン 


美希「………」 


美希「………………」 



美希「………………………………」 
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/18(水) 23:55:22.58 ID:6JIcxPKdo

次の日 

<ガチャ 

美希「おはようなの~」 

P「おう、おはよう美希」 

美希「おはようプロデューサー」キョロキョロ 

美希「あれ?プロデューサーだけ?」 

P「ああ、小鳥さんは出かけてる」 

美希「そっかー」 
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/18(水) 23:55:49.51 ID:6JIcxPKdo

美希「ところでプロデューサー」 

P「ん?なんだ?」 

美希「美希ね……プロデューサーに謝らないといけないことがあるの……」 

P「そうか」 

美希「実はね……」 

P「ああ」 

美希「昨日のおにぎりを食べたのは……」 

P「おう」 

美希「………」 

P「………」 


美希「…美希なの……」 

P「知ってた」 
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/18(水) 23:56:26.61 ID:6JIcxPKdo

美希「やっぱり知っていたんだね……」 

P「そら知ってるわ」 

美希「それなのに黙っていてくれたんだね」 

P「いや、頑なに美希が認めなかっただけだよな?」 

美希「ありがとう……そしてゴメンナサイなの」 

P「あ…うん……はい…」 
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/18(水) 23:56:54.75 ID:6JIcxPKdo

美希「それで、これをもらってほしいの……」ガサ 

P「ん?なんだこれ?おお、結構重いな」 

美希「美希の反省の気持ちなの」 

P「気持ちって……おにぎり?」 

美希「うん、美希が握ってきたの!10倍返しで30個!!」 

P「さ、30個か……色んな意味で重たいな」 

美希「美希の気持ちだからね!」 

P「お、おう…」 
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/18(水) 23:57:24.99 ID:6JIcxPKdo

美希「さ、温かいうちに食べてほしいの」 

P「そうだな……そんじゃあ鮭から」ハムッ 

美希「………」 

P「………」モグモグ 

P「………」ゴクン 

美希「………」 

P「これ…美味いな……」 

美希「――!!」パアァァ 
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/18(水) 23:58:11.66 ID:6JIcxPKdo

<ガチャ 

真美「おっはー」 

亜美「おはおは~」 

伊織「おはよう」 

やよい「おはようございまーす」 

P「おお、おはよう4人とも」モグモグ 

美希「おはようなの」 

真美「むむ!兄ちゃんが美味しそうなのを食べてますなぁ」 

P「おう、真美も食うか?」モグモグ 
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/18(水) 23:58:39.22 ID:6JIcxPKdo

真美「いやいいよ、朝ごはん食べたばっかりだからね」 

亜美「それにこれから厳ちいレッスンだし」 

P「そうか」モグモグ 

伊織「それじゃあ行ってくるわ」 

P「もういくのか?」 

伊織「ええ、美希を迎えに事務所に来ただけだから」 

美希「えへへ、デコちゃんありがとなの」 

伊織「デコちゃん言うな」 
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/18(水) 23:59:06.09 ID:6JIcxPKdo

P「…美希、俺におにぎりを渡すために……」 

美希「プロデューサーいっぱい食べてね、それじゃあ行ってくるの」 

P「……ああ、行ってこい」 

やよい「プロデューサーいってきまーす!」 


<パタン 


P「………」 


P「………………」モグモグ 
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/18(水) 23:59:59.33 ID:6JIcxPKdo

P「それにしても30個か……さすがに今日中には食いきれないな」モグモグ 

P「残った分は冷凍でもして、後日食べようか」モグモグ 

P「………」モグモグ 

P「………」モグモグ 

P「…喉乾いたな…お茶でも淹れてこよう……」トコトコ 



<ガチャ 


貴音「おはようごさいます」 


貴音「……どなたもおられないようですね……」 


貴音「……おや?この袋は……」 


貴音「…………」 
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/19(木) 00:00:26.90 ID:00NFIeugo






P「おう、おはよう貴音」 

貴音「おはようございます、プロデューサー」 

P「今日はラジオの収録だったか?」 

貴音「はい、響と春香と一緒に午後から」 

P「そうか、二人が事務所に来たら、スタジオまで送っていくよ」 

貴音「ありがとうございます」 

P「………」 

貴音「………」 

P「ところで貴音」 

貴音「はい」 

P「一つ聞きたいんだが」 

貴音「はい」 






P「俺のおにぎり知らないか?」 








おわり 
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/19(木) 00:09:03.66 ID:wEOG1ipLO
これは面白い
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/19(木) 00:10:58.14 ID:UBAX9rfao
おつ 
掛け合いとか雰囲気とかすごくよかった
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/19(木) 02:09:57.89 ID:pz+yo3ouo
おつ 
オチがすき
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/19(木) 02:32:10.22 ID:8qGcTJ3O0
次はらぁめんき?

転載元:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1463582773/